そこで神は彼に言われた、「あなたはこの事を求めて、自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。…」(列王紀上 3 より)
今日の聖書箇所はソロモン王の話です。ソロモンはダビデの子供。すでにダビデ王は亡くなり、いまはソロモン王の時代です。今日の聖書箇所は神とソロモン王が対話をしている場面になります。
神さまは夢の中でソロモン王に「あなたに何を与えようか、求めなさい」と尋ねました。神さまはなんでもできるお方です。そんな方から「求めなさい」と言われたら、あなたは何と答えますか。もしも、求めたものがあなたに与えられるとしたら、何を求めますか。それはうれしいですけれど、なぜか「こわい」という気持ちも浮かびます。
ソロモン王はまず神さまに「あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました」と言いました。自分の欲しいものを言い出す前に、ソロモン王は自分の地位について語ったのです。自分の地位が、自分の力で得たものではなく、神さまから来たことを認識していたソロモン王はそのことを神さまに語りました。
次にソロモン王は「わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません」と自分の現状を神さまに語ります。「わたしは小さい子供」であるとソロモン王は言いました。しかし「子供だから、王を続けてはいけません」とは言いませんでした。ここはモーセと少し違いますね。
ソロモン王は神さまに「しもべ(ソロモン自身のこと)はあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります」と現状を語ります。
ここまでで、ソロモン王が神さまに語ったことは三つ。
ソロモン王は、自分の地位を神さまとの関係において認識し、自分の足りない状態を認識し、さらに自分になすべきことを認識していたのです。
続けてソロモン王は「それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」と言いました。これが、ソロモン王の求めたものでした。
そして冒頭の聖書箇所へ続きます。ソロモン王の求めに対する神さまからの返答です。
そこで神は彼に言われた、「あなたはこの事を求めて、自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。…」(列王紀上 3 より)
確かに神さまは、ソロモン王が求めたものを与えてくださいました。でも、それだけではありませんでした。神さまはソロモン王に次のように言います。「わたしはまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちのうちにあなたに並ぶ者はないであろう」。ソロモン王が正しいものを求めたので、神さまはソロモン王の求めなかったものまでも添えて与えてくださったのですね。
神さまから「あなたに何を与えようか、求めなさい」と言われたとき、私だったら何を求めるでしょうか。なぜ、求めるでしょうか。自分の現在の状況を正しく認識し、求めるべきものを神さまに求められるでしょうか。
神さま、どうか私が自分の状況を、ソロモン王のように神さまとの関係において認識できますように。正しい認識のもとで、求めるべきものを神さまに求めることができますように。イエスさまのお名前で感謝してお祈りします。アーメン!